SINDAN Project

Simple Integrated Network Diagnosis And Notification

About

本プロジェクトは、ネットワーク障害点を検出するために、ユーザ側からの観測を元に状態を評価し、ネットワーク運用者が迅速に問題点を把握できる手法の確立を目的とする。 ネットワーク障害の原因を突き止めるためには、ユーザから寄せられる「つながらない」という状態を把握することが重要であるが、ユーザが的確に状態を評価し報告することは困難である。

そこで我々は、ネットワーク障害を複数のレイヤに整理し、「ネットワーク接続性記述の定義」を明確にすることで、的確にユーザ環境の情報伝達を可能する。 提案手法は、今後利用が増すIPv4/IPv6デュアルスタックネットワークを評価対象とし、複雑なネットワークにおいても十分利用可能なものとする。

Background

Outline

ネットワーク運用において、ユーザから「つながらない」というクレームを受ける場合がある。 このような「つながらない」状況の問題点を突き止める場合には、ユーザ側からのネットワーク観測が有効であるが、ユーザからは得てして「つながらない」という漠然とした状況しか得られないものである。

一方、ネットワークの運用者側から、ネットワークや提供サービスの状態を監視する手法は多く存在しており、Nagiosなどのオープンソースアプリケーションが一般的に利用されている。 ただし、これらの手法では、サーバの挙動やIP的な到達性の確認が主となるため、ユーザが被っている障害の状態やサービス障害点を確認することが困難であった。

さらに、今後利用が加速すると予想されるIPv6を利用したデュアルスタックネットワークでは、IPv4とIPv6それぞれの挙動を把握する必要があり、問題発生時の障害点の把握が一層難しくなることが予想されている。 特に、端末OS上においてドメイン名とIPアドレスの変換を行うDNSレゾルバの実装に関しては端末OS毎に異なる場合があること示されている(参考文献[1])。

これらの課題を受け、我々はユーザが利用している実環境からの状態観測情報をネットワーク運用者に的確に伝える手法の確立が必要と考えるに至った。 ユーザ環境のネットワーク問題を評価する仕組みとして、Aggarwal氏らによるホームネットワークの設定ミスを判定する研究がある(参考文献[2])。 ユーザ側からの計測により、ネットワークにおける問題を推測する観点は同様であるが、IPv6に関する考察は行われておらず、ネットワーク接続性記述手法に関する言及はない。 本研究は、IPv4/IPv6デュアルスタック環境におけるネットワーク評価の複雑さを解決する研究であり、特にIPv6のみのネットワークなど、これから利用が進むと想定される運用形態における我々の運用経験が活用されるものである。

そこで本研究では、ネットワーク運用者が迅速に問題点を把握できる手法の確立を目的とし、次の研究を実施する。

【参考文献】

Goal

Goal

本研究では、ユーザ環境においてネットワーク障害点を検出する手法を、それぞれのレイヤ毎に整理・確立し、迅速に把握できるシステムの研究を行う。特に今後利用が増すと考えるIPv4/IPv6デュアルスタック環境を評価対象とし、複雑なネットワークにおいても十分利用可能なものとする。

加えて、人材不足を補うために必須となるネットワーク運用自動化の実現を目指し、ネットワーク運用に精通した技術者でなくとも障害箇所を迅速に把握できる手法の確立を目指す。

Repository

Research achievement